無償


20年間生きてきて失恋したことがない私だけど、今回はちょっと違う気がして、そうなる前に死んでしまいたいなとさえ思う

それくらい彼とのお別れが悲しくて、苦しい。


こんなに好きだったことがない、今までで1番愛してる

なんて言葉は、その時その時の最高潮の時に誰しもが誰に対しても思う気持ちだろう

そして、前回そうだった気持ちを都合よく消しているだけ。


その、今までで1番のその人とお別れする時がきたら次の相手にも同じ感情を抱き、同じことを伝えている

そういうものなのだ。1番なんてものはなくて、ただただ人が入れ替わっていき、最新の人間にそれを伝える話。

なんて人間は都合のいい生き物なんだと


彼は私のことが大好きだと思っていた、彼は私がどんな姿形であれ愛してくれると、無償の愛をくれると思い込んでいた。

勿論私も彼のことが大好きで心から愛しているが、つけ上がりすぎていたなと思い知った

彼だって私を見放すことなんかできる、簡単に。

他人なんだから

そして、それを繰り返してきた人間なのだから当然のことだった

彼なら、なんて保証はない。人間誰しもが同じことを繰り返している、特に恋愛なんてそうだ

中身は違えど破局と出会いを繰り返している。

私は彼の人生の通過点にいるだけなのだ。彼もそう。


いつも優しい恋人、私の我儘も全部受け止めてくれる、理不尽や屁理屈なんかにも怒らず宥めてくれる。

甘えきっていた、が彼も一人間として私のことを見切る選択権があるのだ。

そうだ、ずっと一緒なんて口約束。 行動に起こさなければなかったも同然。


彼がいなくなる事が怖くて涙が止まらない。

下らないことを言うのはやめよう、彼の悲しむことはしたくない

本当に私は馬鹿だなと昨日目を覚ましたのでいい機会だったかもしれない


彼だけは愛してくれる、そんな勘違いから戻ってこれたが、怖い

彼も私のことを嫌いになったり飽きたりする時がくるんだろうか、それを責めることはできない。人間として自然なことなのだ

母親に抱く気持ちと同じものを求めていた私がなんて浅はかで、稚拙なことか。


昨日の夜は悲しくて涙が止まらなくて、思い出してまた泣いている

彼が冷たくて、本当に知らない人のようだったから。